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ダウン症と神経管閉鎖障害予防のために葉酸とイノシトール摂取すると有効?

ダウン症と神経欠損予防のために葉酸とイノシトール摂取すると有効?

ダウン症や神経管閉鎖障害など妊娠を望む女性にとって極めて切実なリスクに関し、ランセットなど質の高い医学論文に掲載された科学的実証を交えてその回避の考え方を提示しています。
ダウン症や神経管疾患の胎児の出産を抑制するにはよく活用される葉酸やビタミンだけでなく、イノシトールを含めて妊娠に望むのがよいと言われる理由はなぜなのか?
時間も労力もコストもかけて行う妊活ですので、ここは確証性高い実証を元に読み進めましょう。

 

妊娠を望む二人

 

葉酸と妊娠

 

葉酸は受精卵が正常に分裂し、かつその成長過程に欠かせない働きを担っています。

 

葉酸が神経管閉鎖障害を予防するとの科学的な実証が増えてきており、かつ厚生労働省でも妊娠1月前から妊娠3月目まで葉酸の摂取が勧められているので、出産を望む夫婦に注目されているビタミンとなっています。

最近の女性が昔のように妊娠がスムースに行かなくなってしまった要因には卵子の衰えが挙げられ(※)、元気のない卵子では受精しても細胞が正常に分裂しないと指摘されています。

 

葉酸は卵子や精子を若返らせ、受精卵の細胞分裂を助けるという効果を発揮します。

 

葉酸の効果1

 

また葉酸には下記のように受精卵を育むための良好な効果が望めます。

 

葉酸の子宮への働きかけ

  • 子宮に血流を送り、栄養素と酸素が届きやすくなる
  • 子宮内膜を厚くし、着床を安定させる

葉酸の効果2

 

 

 

しかし、妊娠を望む二人にとって葉酸がどれだけ正しく理解されているかどうかと言ったら「各サプリメント会社が推奨しているとおり」とアバウトな場合も多いのではないでしょうか?
以下では神経管閉鎖障害と、それに大きく関わっているダウン症に関しての論文から解説します。

 

※なお以下

内の記述は論文の要旨であり、英訳となりますことをご了承ください。

 

同一家族内においてダウン症と神経管疾患が発症しうる頻度

下記①と②の検証によりダウン症と神経管閉鎖障害に直接的な関係性があると断定できます。

 

①神経管閉鎖障害のリスクが高い家系の場合
妊娠における神経管閉鎖障害リスクがある場合の子のダウン症割合:11/1492 0.0073%
同年代の女性の平均的割合は0.0001%

 

②ダウン症のリスクが高い家系の場合
妊娠におけるダウン症候群リスクがある場合の子の神経管閉鎖障害割合:7/1847 0.0038%
同年代の女性の平均的割合は0.001%

 

Frequency of Down syndrome and neural-tube defects in the same family by Prof Gad Barkai,

 

ダウン症と神経管閉鎖障害の関係性が示唆されている上の論文には葉酸塩サプリメントがダウン症の発生を抑制するとも提示されているのですが、次は葉酸の摂取を行うとどのくらいの期待ができそうなのかをまた医学的実証の高い論文で見てみましょう。

 

 

葉酸の神経管閉鎖障害予防率(予想)

葉酸塩が血中濃度で増えるごとに神経管閉鎖障害リスクが抑制できると考えられ、アメリカの葉酸強化レベルや英国の推奨からして、下記とおり「一日あたりの葉酸摂取量と神経管閉鎖障害抑制率」が予想されています。

 

一日あたり葉酸塩の摂取量及び神経管閉鎖障害抑制予想率

  • 0.2mg : 20%
  • 0.4mg : 36%
  • 1mg : 57%
  • 5mg : 85%

 

一日あたり5㎎の葉酸塩を摂取すれば神経管閉鎖障害を85%抑制できる見込みが示されていますが、ここで注意したいのが、飽くまで予測である点です。

 

論文を執筆したN Wald氏は以下のようなニュアンスを使っています。

 

We would be expected reduce NTS : 神経管閉鎖障害を減らせると期待できるだろう

 

極めて高い予防率が示されているのは事実で、葉酸塩を有望視できそうですが「葉酸塩を摂取すれば神経管閉鎖障害の胎児のリスクが保障されているわけではない」と解釈するのがよさそうです。

 

また、葉酸を摂取すれば神経管閉鎖障害を確実に予防できると言えない点には以下の遺伝子要因が潜んでいる場合も含んでいます

 

 

葉酸を活用できるかどうか MTHFRとMTRR遺伝子の問題

ダウン症と神経管閉鎖障害は共通経路を辿って発現すると考えられています。

 

「葉酸を摂取した場合の『処理能力』に関わるMTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)」と、「葉酸が体内にあっても『正常に作用しない状態(以下葉酸抵抗性と呼ぶ)』を示すMTRR(メチオニン合成酵素還元酵素)の遺伝子』がどのような状態かを判定すると、ダウン症リスクを的確に判断できます。

 

このためMTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)とMTRR(メチオニン合成酵素還元酵素)の遺伝子を判定すると、葉酸を摂取して恩恵を授かれるのかどうかがわかるようになります。

 

Pietro Cavalli - Lancet

 

ここでMTHFRとMTRRが何かを明らかにしましょう。

 

下の図を見ると葉酸はMTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)のアシストを受け、メチオニンの代謝サイクルに寄与しているのが分かります。

 

メチオニンはタンパク質の1つで、ホモシステインの濃度を一定に保つ上で不可欠な役割を担っています。

 

ホモシステインは胎児の体重の調整をするうえで極めて重要な要因になっており、ホモシステイン濃度が上昇すると胎児の体重が低下すると言われるのです。

 

葉酸代謝

出典 株式会社ハーセリーズ・インターナショナル

 

しかしMTHFRとMTRRのコンディションを全く改善できないかといったらそうではありません。それが以下の論文で述べられている葉酸とイノシトールの併用療法です。

 

 

葉酸サプリメントの活用で7割の神経管閉鎖障害を予防できる

臨床試験では妊娠初期に葉酸サプリメントを活用すると神経管閉鎖障害を70%予防できるとわかりました。

 

神経管閉鎖障害が発生しうる残りの30%の確率は葉酸を摂取した際の体内での処理能力(耐葉酸性と呼ぶ)に関わる問題です。

 

神経管閉鎖障害はいわば神経管の閉じ忘れ(後述)を意味しており、二分脊椎を及ぼし、その予防は「葉酸とイノシトールの併用療法の有効性にある」と我々は考えています。

 

Green Copp - net med 1997

 

葉酸とイノシトールをどの程度摂取すれば神経管閉鎖障害が予防できるのか、Green氏らが行った引き続いての検証で見てみましょう。

 

 

神経管閉鎖障害のリスクが高い場合の葉酸とイノシトール併用療法の症例

 

二度の流産を経験し、葉酸の処理能力に異常が考えられ(耐葉酸性)、三度目の妊娠で神経管閉鎖障害リスクが高い(1/9の確率)夫婦の場合。

 

このケースで受胎3ヶ月前から妊娠2ヶ月目まで下記のイノシトールと葉酸の併用療法を行いました。

  • イノシトール500㎎
  • 葉酸2.5㎎

 

経過

出生後2週間後までの臨床評価は正常であり、定期的検査でも正常

 

出典:Green Copp - pub med

 

妊娠における神経管閉鎖障害のリスクを抑制するには葉酸だけでなくイノシトールとの併用療法が有効であるのが分かります。

 

論旨の小括

 

以上解説してきた論文の要旨をまとめると以下のとおりです。

 

ダウン症および神経管閉鎖障害に関する論文の論旨

  1. 神経管閉鎖障害とダウン症には関連性がある
  2. 葉酸による神経管閉鎖障害予防率:5㎎/1日 で85%を抑制
  3. 葉酸が体内で活用できるコンディションが整っているかどうかはMTHFRとMTRRを調べると判断できる
  4. 葉酸を摂取したとしても神経管閉鎖障害が発症しうるリスクは、葉酸を摂取した際の体内での処理能力である
  5. 葉酸の処理能力を改善するために葉酸とイノシトールの併用療法が有効である

 

それではここからダウン症と神経管閉鎖障害について詳細を解説します。

 

ダウン症とは

 

ダウン症は21番染色体の異常で発現すると言われており、ダウン症の染色体異常には以下の3つのタイプがあると言われています。

 

  ダウン症における割合 染色体異常の特徴
21番染色体トリソミー 90%超 21番染色体が3つ”tri”ある
転坐型 5%程度 21番染色体が他の染色体に付着
モザイク型 1%程度 正常な21番染色体と異常な21番染色体が混在

 

21番染色体の異常

出典:信州大学大学院薬学部

 

ダウン症そのものは遺伝子の数の異常であり、病気ではないとの見方をする場合もありますが、遺伝子に異常があることで疾患にかかりやすくなったり、発達に障害が見受けられたりするので、その後の家族にとって負担が大きく重い課題として受け止められるのです。

 

はじめにダウン症と神経管閉鎖障害は関連があると述べている論文をご紹介しましたが、神経管閉鎖障害とは何か?詳細を解説します。

 

 

神経管閉鎖障害とは

 

神経管閉鎖障害では神経がつくられる途上で神経管の閉鎖障害が起きています。

 

通常中枢神経は4週間目以降に筒状になって脊髄などの元がつくられます。

 

このとき神経に蓋をするように皮膚が覆いかぶさるのが正常な発育ですが、神経管閉鎖障害では発育の途上で神経管を皮膚が閉じきれず、皮膚の上から神経や脊髄が飛び出している状態になります。

 

神経管閉鎖障害は神経管閉鎖障害とも呼ばれ、主に二分脊髄(図中右端)や無脳症(図中左から二番目)などを発現します。

 

神経管閉鎖障害

 

日本における神経管閉鎖障害率は欧米に比べて6倍と言われており、そのために葉酸の摂取が進んでいる欧米の習慣に倣うべきなのかもしれません。

 

 

葉酸塩と葉酸の違い

 

これまで葉酸塩と葉酸といった言葉が登場していましたが、両者の違いは以下のとおり。葉酸含有酵母についても記載します。

 

項目名1   特徴
葉酸塩(folate) 合成化合物 ビタミンB2・B3・B6・Cおよびセリンなどの微量栄養素を要し、肝臓でmethyl folat化して体に有効な状態となる
葉酸(folic acid) 天然ビタミン methyl folateとも呼ぶ
葉酸含有酵母 合成化合物を酵母に含有させた状態 酵母に葉酸を含有させることで吸収効率が向上すると言われる

 

 

妊娠に理想的な葉酸サプリとは?

 

妊娠を望み、有効な葉酸を探している女性は多いでしょう。

 

上で述べてきたダウン症および神経管閉鎖障害を予防する理想的な葉酸の摂取は、サプリメントの形がよいと考えられます。

 

その理由は食品で妊娠に理想的な葉酸を摂取しようとすると、無理が生じるから。葉酸が多く含まれていると言われるバナナでも一日20本摂取しなければならず、現実的に難しいのです。

 

葉酸だけでなくイノシトールの併用摂取が重要であると論文では述べられていましたが、それに合致するようなサプリメントは多くありません。

 

ここでイノシトールを含む葉酸サプリメントをご紹介します。
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まとめ:葉酸摂取は科学的根拠をベースに

 

多くの葉酸サプリがある中で、よく女性に呑まれている=人気だからといった理由で選ぶ場合もあるかもしれません。

 

よく見かけるからといった安易な動機では、授かることは難しいです。

 

上のようにしっかりとした科学的実証をベースに葉酸を上手く摂取するのがよいでしょう。